Concept
東京の下町、繊維街のある神田にオーダースーツショップ「グローバルスタイル」の東京第一号店がオープンした。神田は製薬会社や商社などが立ち並び、往来するビジネスマンをメインターゲットとすることが想定された。また、秋葉原からも徒歩圏内であることから、普段スーツにあまり関わりが無い人の通行も考えられた。
計画地は元々生地の卸業を営んでいた親会社の鰻の寝床のように細長い路面店である。間口が狭く奥行きのある平面はお客様の店内誘導の難しさが想像された。クライアントは既存のオーダースーツショップが持つような敷居の高いものではなく、気軽にオーダースーツを楽しんでもらいたいという考えを持っていた。どのようにして気軽に敷居を跨いで頂き、店内へとお客様を誘導するかが問われた。
私たちはまず計画平面を店頭部分と店奥部分とに大きく二つに分けて計画した。店頭部分にはまず気軽に店舗に入ってもらえるようにファッションに関する雑誌や本を読めて簡単な飲み物が飲めるフリースペースを計画。店奥部分にスーツの生地やゲージをディスプレイした什器やフィッティングルーム等のオーダースーツショップの機能を詰め込んだオーダースーツスペースを計画した。店頭のフリースペースと店奥のオーダースーツスペースは垂れ壁で区切ると共に素材の切り返しで緩やかに領域を分けた。スタッフはフリースペースとオーダースーツスペースをまたいで自由にディスプレイを展開する。その結果、カフェに入るように気軽に入って来たお客様が自然と奥のオーダースーツスペースに導かれるように計画した。
外壁は以前に弊社でデザインさせて頂いたオーダースーツへの入り口を表現したロゴマークの「扉」を不燃の木材で制作しファサードとした。「扉」の一部が建物内部へ貫入するようなデザインとし、前面の歩道を行き交うお客様を店内へと誘導するような計画とした。外壁の木材や内部の什器の色は明るい色とすることで従来のオーダースーツショップが持つ重厚感を払拭した。
オーダースーツをファッションの一部としてカジュアルに、気軽に身につけ、一つ上の自分へ上がることができるようなショップが完成した。
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